キャンプは自然の中で行うもの。
雨、風、動物等、日常生活では気付かない色々な危険が潜んでいます。
今回はキャンプのリスクマネジメントの一環として、危険をはらむいろいろな要素について書きたいと思います。
Table of Contents
■テントサイトに関するリスク
キャンプ場に到着しテントサイトを決める場合、避けたほうが良い場所、地形があります。
1 窪地や傾斜しているフィールドの低いエリア
水は当然のように低いところに流れてきます。
まとまった雨が降ると地面に染み込んだ雨水は低い方へと流れていきいつまでも地面が乾きません。
最悪ぬかるみ状態になってしまいます。
河原のような砂地であれば雨水は深く染み込むのでその心配はありませんが、キャンプ場が土や粘土質であった場合はできるだけ高い場所を選び、また窪地は避けましょう。
2 崖や斜面の直下
崖や斜面の直下は強い風や弱い地震等で落石が発生する恐れがあります。
崖や斜面の近くしか場所が空いていない場合は直下を避け、できるだけ離れた場所にテントを張りましょう。
3 風の通り道
地形によっては都会のビル風のように風が集まり突風が吹く場所があります。
そういう場所をテントサイトにしてしまうとテントやタープ、テーブルなどが飛ばされてしまう事があるので注意が必要です。
また風が強いと夜テントが風に煽られて音を立て、その音で睡眠が妨げられることにもなります。
これらのことを防ぐためにも風の通り道になりそうな場所は避ける必要があります。
以下に風の通り道になる可能性のある場所を挙げます。
①川沿い
川は山と山の間の谷を流れているため、その谷に沿って風が集まりやすく突風も発生しやすくなります。
川沿いのキャンプ場で風の強い日は川の近くではなく、立ち木等の風を防いでくれるものの近くをテントサイトにすることをオススメします。
②林間における開けた場所
林間のキャンプ場で立ち木が少なく見通しの良い開けた場所は風の通り道になりやすく注意が必要です。
河原ほどではありませんが、風の強い日の場合は立ち木が風を防いでくれるような場所を選ぶことをオススメします。
③開けた土地
高原のような立ち木の少ない開けた場所は風を塞ぐ事ができません。
風が強い場合は風上に車を止める等、直接テントやタープに風が当たらないよう工夫をしましょう。
4 川の中州
川の中州は強い雨が降ると真っ先に水没してしまいます。
また中洲から川岸に行くためには川の流れを横断する必要があり、増水していた場合に転倒せず渡り切るのは非常に困難になります。
夏場は晴れの予報であっても山間部では発達した積乱雲が強い雨を降らせる場合がありますので、中洲にテントを張ることはやめましょう。
5 木の下
夏の暑い日には木の下は木陰になり涼しいのでテントを張りたくなりますね。
しかし、以下の理由でおすすめできません。
①虫が落ちてくる可能性がある
②落雷の可能性がある
③枝等が落ちて来る可能性がある
そのため木の下にテントを張るときは枝の張り出した部分を避け、且つ幹から3〜4メートル以上離れた場所を選ぶようにしましょう。
■子供に関するリスク
キャンプ場は山の中や川のそば、海のそばなどにありますね。
好奇心旺盛な子どもたちにとっては大変魅力的なフィールドです。
そのため遊びに夢中になって、自分が危険な状態にあることに全く気付かない場合があります。
子供を連れてきたときは、大人が必ず子供と一緒にいて安全を確保するようにしましょう。
では子供が陥ってしまう危険にはどのようなものがあるのでしょう。
1 迷子
数年前キャンプ場で女の子が行方不明になった事件がありました。
その子は未だに発見されていません。
親御さんが少し目を離したときに姿が見えなくなってそれきりだそうです。
キャンプ場は人里離れた場所にある場合がほとんどですので、キャンプエリアから少し離れただけで危険な地形や沼や池があったりします。
また山林は道がないので少し奥に入っただけで来た方向がわからなくなります。子供ならなおさらですね。
2 水遊び
夏に海や川のキャンプ場に来た場合は当然のように水遊びをしますね。
水の事故は命に直結します。
子供が川や海などで遊んでいる場合はいっときも目を離さないようにしましょう。
3 木登り
キャンプ場には登るのに手頃な木が多くあります。
木登りも子供が好きな遊びですが、落下したり虫に刺されたりする危険もあります。
木登りを禁止する必要はありませんが、大人の見守りは必要です。
4 火遊び
キャンプでの火遊びとは焚き火と花火です。
焚き火の周りに子供だけしかいない状況は作らないようにし、花火で遊ぶときも必ず大人が一緒に居るようにしましょう。
5 その他のハイリスクな要素
・河原などで大きな石を子供が持ち上げて遊ぶことがありますが、石を足に落としてしまう危険があります。
・火のついたバーナーやランタンは火傷の危険があります。子供が不用意に触らないよう気をつけましょう。
・地面に割れた瓶や鋭利な金属等が落ちていると怪我のリスクがあります。テントサイトの周囲の地面は最初によくチェックし危ないものは取り除いておきましょう。
■火に関するリスク
キャンプは料理や焚き火等、火を使うことが多くなります。
火によって起こるトラブルはダメージが大きくなるので火に関するリスクをしっかり把握しておきましょう。
1 地面の枯れ草や落ち葉に注意!
冬から春にかけてのキャンプ場は地面が枯れ草や乾燥して茶色になった落ち葉が多く積もっていることがあります。このようないわゆる“燃料”の上で焚き火をすることは山火事に直結します。
特に杉や松の落ち葉は油分を含んでいるので着火剤として使えるほど燃えやすい特徴があります。
焚き火をする際は地面の落ち葉を取り除くことを忘れないようにしましょう。
また、バーベキューコンロも同様です。火のついた炭が爆ぜると燃えた炭のかけらが飛び散ることがあります。炭は火持ちが良いので忘れたときに火がつくこともあり、それが就寝後だったら大変ですね。
2 消火は確実に
燃え残った薪や炭に水をかけただけでは消火しません。
それらはバケツや大きめの鍋に水を張って、その中に投入して完全に火を消しましょう。
くすぶっている薪や炭が風でテントに飛ばされると穴が空いたり最悪燃えてしまうこともあります。
寝入っているときだったら命に関わるトラブルになります。
3 着火剤の扱い方
着火剤はいろいろな種類がありますが、特に注意が必要なのがジェル状の着火剤です。
ジェル状の着火剤の主成分はメチルアルコール等の極めて燃えやすく引火しやすいオイルです。
そのため火のついた薪等に追加で投入すると爆発的に燃焼し、火のついたジェルが周囲に飛び散ることがあります。
これが服や肌につくと大きな事故になります。
ジェル状の着火剤を追加投入することは厳禁です。
★焚き火がなかなか燃えないからといってホワイトガソリンをかけるようなことは絶対にしないでください。
あっという間に火が手元まで伸び、間違いなくやけどします。
私がまだ初心者だった頃、これをやってひどい目にあったので(汗)
■ランタン、バーナーに関するリスク
ガソリンやガスを燃料とするランタンやバーナーは使い方を誤ると大きな事故に繋がります。
その中でも特にヤバいのが“一酸化炭素中毒”と“ガスカートリッジの爆発”です。
1 一酸化炭素中毒
ガソリンやガスを燃料とする器具は締め切った空間では絶対に使用しないでください。
特にテントや締め切ったシェルターは空間が狭いのですぐに一酸化炭素の濃度が高くなります。
どうしてもテントやシェルター内で使用するときは四方のうちの一箇所を半分開けておく等の換気を忘れないようにしてください。
また市販されている一酸化炭素チェッカーをテント内にぶら下げておき、時々チェックするのもいいでしょう。
2 ガスカートリッジの爆発
カセットコンロのカートリッジの爆発事故は、最近ニュース等の報道でだいぶ認知されてきているようです。
東京消防庁のサイトにも注意喚起があります。
ガスカートリッジが爆発する可能性のある使い方をいくつか挙げてみました。
①ガスコンロを複数台並べて使用する
②コンロを覆うような大きな鍋やフライパン、鉄板を乗せて加熱する
③木炭や連単をコンロの火口に直接乗せて火起こしをする
④如くを使用しない、もしくは逆さまに乗せて加熱する
⑤他の熱源のそばで使用する
⑥夏の直射日光で熱せられた岩や石だらけの河原に直置きで使用する
これらの使い方をすると高い確率でガスカートリッジが爆発します。
夏場は特にガスカートリッジが熱を持たないような環境、使用法を心がけましょう。
■その他のリスク
その他にも忘れてはいけないリスクがあります。
1 日焼け
都会から離れた場所にあるキャンプ場は空気が澄んでいることもあり、紫外線も強くなります。
そのため日焼けも進みます。
日焼け対策はしっかりと行いましょう。
2 虫刺され
特に夏の野外では蚊や蜂、アブ。それにムカデなどの虫と頻繁に遭遇します。
そのため、虫を寄せ付けないスプレーや刺されたときの薬は必ず持参しましょう。
■まとめ
楽しいキャンプですが、大自然の中での活動なので日常では考えられないような事故の可能性があります。
そのため車の運転でよく言われる「〜だろう」ではなく「〜かもしれない」という考え方で臨む事が必要です。
「子どもたちは焚き火のそばには近寄らないだろう」
ではなく
「子どもたちは焚き火の周りでふざけて火の中に倒れるかもしれない」
と考えると目を離せなくなりますね。
常に「〜が起こるかもしれない」と考えることで、リスクに備えることができますし、危険な場所を避けることに繋がります。
無事に家に帰り着くことがキャンプを楽しいものにするための最大のポイントです。
皆さんも考えられるあらゆるリスクを頭に入れ、無事に家に帰り着くようにしてください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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