テント内暖房を考える(薪ストーブ)

キャンプあれこれ

寒くなってきましたね〜。
空気が澄んできましたね〜。
キャンパーが少なくなってきましたね〜。
そうです、キャンプシーズン突入です。

でも寒さ対策が不完全だと冬キャンプは修行の体をなします。
特に寝るときは暖かくして寝たいもの。

テント内暖房器具

テント内部を暖める方法としては以下のものがあります。
・薪ストーブ
・石油ストーブ
・石油ファンヒーター
・ガスストーブ
・セラミックヒーター

そこで今回は5回に分けてテント内暖房について考えてみます。
第一回目はキャンプ暖房の王様『薪ストーブ』です。

薪ストーブ

薪ストーブはその暖かさからアウトドア暖房のKINGです。
最近はストーブ本体に大きい耐熱ガラスを使用し燃える薪の様子がよく見える製品が増えています。
外で焚き火しても背中が寒い季節。
テント内で暖を取りながら焚き火も楽しめるのでサイコーですね。

【メリット】
①ストーブ本体、煙突から遠赤外線が放射されるので離れていても暖かい。
遠赤外線は身体内部まで届くので芯から温まります。
岩盤浴と同じ原理。
なのでストーブから多少離れていても暖かさが伝わります。

②熱せられた大量の空気が循環するのでテント内がTシャツ一枚で過ごせるほど暖かくなる。
ストーブ周りの空気が温められそれがテント内で循環するのでテント隅々まで暖かくなります。
外は北極、中はハワイという極端な状況を作ることができますよ。

③本体の上に調理器具をおいて調理ができる。
ストーブ本体は真っ赤になるほど熱を持ちます。
その熱を使用して煮物、焼き物、炒め物等調理することができます。
ソロキャンプならバーナー代わりになりますね。

こんな使い方はNGですよ。天板に油が落ちてこびりつきます。

④テント内で焚き火を楽しむことができる。
ストーブ本体に耐熱ガラスが使われているものは外から薪が燃える様子が良く見えます。
焚火の炎を見ていることと同じなので癒やされます。

⑤薪が爆ぜる音が心地良い。
パチパチ…という薪の燃える音。
暖かいテント内でこの音を楽しむことができるのは薪ストーブだけですね。

【デメリット】
①まめに薪を補充し続ける必要がある
就寝後は薪が燃え尽きてしまい気温は急降下。
朝テント内は氷点下ということも…

②専用のテントが必要
薪ストーブは煙突が付いているのでテントにこれを通す穴が必要です。
ストーブによっては煙突取付部が横についているものがあり、この場合はテントのファスナーを上げて煙突を外に出す事が可能。
ただし煙突ガードを付けないとテントの生地が溶けてしまいます。

③設置・撤収に時間がかかる
薪ストーブは使用するために組み立て、煙突の固定等の作業が必要になります。
撤収時も灰処理、分解、掃除をしなければなりません。

④一酸化炭素中毒の可能性がある
煙突が付いているとはいえ火を使う暖房器具。
一酸化炭素中毒の危険性はついて回ります。
そのためテントは密閉せず換気することが重要です。

⑤熱による事故の可能性がある
ストーブの本体や煙突は非常に熱くなります。
テントやチェア等の化繊製品が触れただけで一瞬で溶けて穴が空きます。
また可燃物が本体の上に落ちると間違いなく火事になるし、人が直接触れたらその瞬間に火傷します。
そのため薪ストーブの設置場所及びその周りの整理が重要ですし、可燃物が落ちてこないようなセッティングが必要になります。
また小さな子どもが居る場合はストーブガード等で子どもが触れられないようにしなければなりません。

亜種『ペレットストーブ』

ペレットストーブは薪の代わりに「ペレット」を燃料とするストーブです。
ペレット(pellet)とは小さな固まりの形状のものの総称。
ペレットストーブ用の木質ペレットは、間伐材や端材、かんな屑やチップのようや製造副産物等を細かく砕き、おが粉にして直径6mm、長さ10mm-50mmほどの円筒形状に圧縮形成した固形燃料です。

燃焼には吸気、排気のシステムを必要としますが、薪ストーブはその両方を備えているので燃料とすることができます。
火の付きが悪いので着火剤が必須ですが、一旦炎が安定するとペレットを追加することで安定して燃焼します。
最近はペレットの自動追加機能が付いたストーブもあり、このタイプは数時間燃え続けるので就寝後も暖かい状態を保つことができます。

さらに大抵のペレットストーブは薪を燃料とすることが可能。
薪ストーブ界の”デキる漢”なんですよ。
ワタシ的には最近このペレットストーブが何だかとても気になります。
ポチッとやるのも時間の問題かと…(汗)。

薪ストーブ使用時のTips

①濡れた薪を使用しない
使用する薪は良く乾燥したものを使用しましょう。
濡れていたり半乾きの場合不完全燃焼を起こしやすく一酸化炭素の大量発生にも繋がります。
もし薪が濡れていたり半乾きの場合は、次に投入する薪をストーブの下に置いておき、少しでも乾燥させるようにしましょう。

②ストーブの焚口を開けたままにしない
ストーブの薪の投入口を開けたままにすると空気の流れがスムーズでなくなり、焚口から煙が逆流することがあります。
特に煙突の長さが短い場合にこの現象が顕著です。
当然一酸化炭素もテント内に逆流するわけで危険な状況を招いてしまいます。
薪を投入したら速やかに焚口は閉じましょう。

③効率よく換気する
テント内に空気のルートを作って換気が自動的に行われるようにしましょう。
テント上部のベンチレーターは全開にし、その他一部のファスナーを30センチくらい開けます。

◯印がベンチレーター。大型のテントには必ず付いています。

ストーブで温められた空気は軽いので上昇し天井部のベンチレーターから外に出て行き、それと同じ量の外気がファスナーの開口部から流入してきます。
この流れが自動的に続くようになれば換気はOKです。
「そんなに外気が入ると寒くなるのでは?」とご心配のあなた。
心配ありません。
そのくらいでは寒くなったりはしませんし、むしろ涼しくて気持ちいいくらいですよ。

④煙突はできるだけ長くする
煙突を長くすることで「ドラフト効果」を高め、ストーブの給排気をスムーズにし燃焼効率を上げる事ができます。

【ドラフト効果とは】燃焼により熱せられた空気、排気ガスは密度が薄くなり 熱膨張によって広がりつつ比重の差によって上昇する力が生まれます。 これを煙突によって閉じ込め、上だけを開放することで排出ガスの速度を上げる=吸気速度を上げることができるのです。

ドラフト効果によって燃焼により生じた有害ガス等がスムーズに排出されるので一酸化炭素中毒防止効果がより高くなります。

ドラフト効果

ちなみにドラフト効果を高めるためには煙突の長さはストーブ本体の上部から4.5m以上あったほうが良いとされています。

⑤テントはTC素材のものがベスト
テントはポリウレタンではなくTC素材のものがオススメです。
TC素材はポリウレタンに比べて厚く火の粉に強いという特性があります。
厚いので保温性も高く、煙突から飛んだ火の粉で生地が穴だらけになる可能性も低くなります。

⑥煙突に近い部分をビニールシートで保護する
燃焼中の薪ストーブに薪を補充するときなどに煙突から火の粉が飛び出すことがあります。
そういう火の粉によりテントに穴が空くことを防ぐためには、煙突に近い部分のテント本体にビニールシートを掛けて保護することが有効です。

こんな感じでカバーすれば火の粉避けにはなります。

ビニールシートは飛ばないようガイロープで固定することをお忘れなく。

まとめ

薪ストーブはテント内暖房においては最高のGEARですが、色々と手間もかかります。
しかしそんな手間を含めてもその暖かさに代わるものなし。
換気さえしっかり確保できればこれが一番オススメです

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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