キャンプブームは終了したのか?

キャンプあれこれ

最近キャンプブームが終了したとの報道が増えています。
先日もスノーピークの昨年度の利益が99%減少したというニュースも先日飛び込んできました。
果たしてキャンプブームは終了したのか?
今後はどうなるのか?
今回はこの点について考えてみます。

キャンプブームっていつ頃始まった?

第一次キャンプブーム(週休二日制の導入とRVの登場

日本におけるキャンプブームは今回が初めてではなく、1990年代に最初のブームがありました。
それまでのキャンプはボーイスカウトやガールスカウト、YMCA等の民間の青少年団体が中心に行っていましたが、週休二日制の導入やRVと呼ばれるレジャー目的の車種の登場が人々をフィールドに誘ったようです。
当時のキャンプ人口は1580万!
今回のブームのキャンプ人口が900万人程ですから、その過熱ぶりが伺えます。

私がキャンプを始めたのがちょうど1988年頃ですからだいたい同じ時期ですが、その頃のキャンプ場は現在のように整備されておらず、トイレも汚いところが多かったという記憶があります。
キャンプスタイルは現在のようにSNS等がなかったこともあり、だいたいがグループキャンプやファミリーキャンプがメインだったと思います。

第二次キャンプブーム(ゆるきゃん、コロナ、SNS、ネットショッピング)

その後一旦ブームは下火になりますが、2018年に放送された人気アニメ「ゆるきゃん」に触発され若い人たちがキャンプに目を向けました。
またこの世代は第一次キャンプブームのときに親に連れられてキャンプを体験した人が多く、キャンプを始めることへのハードルが低かった世代でもありました。
さらに極めつけはコロナウィルス。
国全体が半年ほどの自粛?のあと「三密」を避けることのできるアウトドアレジャーに目を向けたことが今回のキャンプブームの原動力となりました。

*前回のブームとの相違点
前回のブームと前回で最も違う点はSNSとネットショッピングです。
インターネットの普及によりSNSやYouTube等の動画サイトでキャンプコンテンツを発信する人が多くなり、色々なキャンプの在り方が共有されます。
著名なキャンプ芸人達が発信するキャンプ動画が人気になり影響を受けるキャンパーが多く出ました。
「ソロキャンプ」をポピュラーなものにした「ヒロシちゃんねる」等がそれにあたります。
また「X」やインスタグラム等で「映え」を意識する人が増え、これは特徴のある最新キャンプギアの購入意欲を向上させ、日本中どこに住んでいても最新のキャンプギアを手に入れることを可能にするネットショッピングがそれを支えました。

こうして今回のキャンプブームが大きくなっていったわけです。

キャンパー動向

では「キャンプブームは終わった」という声が聞かれるなか、現在のキャンパーの動向を見てみましょう。

■キャンプへ出かける回数

表の文字が小さくて申し訳ありません。
ユーザーの動向の一つとして、一年間に何回キャンプに行くかの調査グラフです。


コロナ禍のときは緑の部分「しない=キャンプしない」が70%近くいたのがコロナ明けにはそれが4.6%と激減しています。
つまり回数はともあれキャンプする人が30%から一気に95%まで増えたということ。
これはもうブームという範疇を超えていると考えられます。

■購入するキャンプ道具

次にキャンプ道具を購入する場合の内容についてのグラフをあげます。

ぱっと見て最も違いが出ているのが青い部分
「新セット購入」の割合です。

新セット購入の場合はキャンプするために必要なもの、
・テント
・チェア
・マット
・シュラフ
・ランタン
・バーナー
等をまとめて買うので購入金額は大きくなります。
このセット買いのコロナ禍の割合が33.3%、明けたときが7.6%。
なんと1/4に減っています。
逆に増えているのが追加購入。
この追加購入というのは「キャンプ道具は一通り揃ったけど、このランタンイカしてるから買っちゃおう」という感じで、数あるキャンプギアの中から気に入ったものを追加で購入したものです。
これがコロナ禍のときと比べて倍近い割合になっています。

スノーピークの純利益99.9%減について

2月13日に発表されたスノーピークの2023年12月期の連結決算に発表によると、純利益が前の期と比べて99.9%も減少し、わずか100万円となりました。
これは業界を揺るがすニュースとなり、すわ「キャンプブームは終わった!」と騒ぎになりました。
しかし落ち着いて考えてみるとキャンプ道具というのはいわゆる「耐久消費財」です。
一回購入すると数年は使用できます。
さらにスノーピークの製品は価格は高めですが作りが良く耐久性も高いのが特徴です。
キャンプ業界のハイブランドと言ってもいいでしょう。
加えて商品は永久保証であり、修理代さえ払えば壊れてもまた復活します。
こういう商品を手にしたユーザーは大事に扱いますし、メンテナンスもちゃんとやります。
なので全焼したり全壊したりしなければ家族が増えた等の物理的な条件が合わなくならない限り使い続けますよね。
コロナ禍でアウトドアレジャーに多くの人がシフトし、競ってキャンプ道具を揃えた時期と、コロナ禍が落ち着きユーザーも普通に道具を使い続けている時期とでは売上動向が大きく違ってくるのは当然です。
したがって、ユーザーの間に道具が一巡する時期を正しく見極めて新店舗等の投資計画を立てて行くことが、スノーピークのみならずキャンプ道具メーカーには最重要経営ポイントではないでしょうか。
今回のスノーピークの純利益激減騒ぎはこの時期的な見極めが少し甘かったのではないかとワタシ的には思うのです。

それからスノーピークについて気になっていたのは、ショップがまるでアパレルのブティックのようなスタイルに変わってしまったこと。
キャンパーは色々な道具が所狭しと並べられているところを彷徨うことが大好き。
そしてその中になぜか自分の琴線に触れるものと出会い、ついつい買ってしまう。
こういう罠を多く仕掛けてあるショップやメーカーが勝ち組になるのではないかと思っています。
それはなぜか。
今ほとんどのキャンパーは必要なものは一通り持っているから。
彼らの心を動かすようなデザイン的・機能的なスペシャリティを全面に押し出した商品を開発するのが肝要かと思います。

【結論】キャンプブームは終わったのか?

長々と書いてきましたが、前述の通りキャンプ道具業界の売上ではキャンプというレジャーの状況は正しく判断できません。
ただ色々なデータやグラフを見ていると、キャンプはもはやブームではなく、それを通り越した「ライフスタイル」として定着したのではないかと私は考えています。
道具にしても最近はビンテージGEARの人気が高くなっており、値段も高騰しています。
このような現象は初期ブームのときにはまず現れません。
ある意味文化として定着してからビンテージものやレアものに注目が集まります。
業界全体の売上が落ちているのもニーズが一巡したからで、これからユーザーは「自分が良いと感じたもの」にお金を払います。
そういう意味ではメーカーには難しい時代となりますが、「良いものには惜しげもなくお金を払うユーザーが増えた」わけですから楽しみな時代になったとも言えるのではないでしょうか?

最後まで読んでいただきありがとうございます。

Grandpa

Grandpa

36年間キャンプに親しんできた管理人が、培ってきた経験やTipsを共有するためのブログです。

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