テント内部を暖める方法としては以下のものがあります。
・薪ストーブ
・石油ストーブ
・石油ファンヒーター
・ガスストーブ
・セラミックファンヒーター
今回は5回に分けてテント内暖房についての考察を行っていきます。
第二回目は石油ストーブについて書いていきます。
Table of Contents
石油ストーブ
最近の冬キャンプで石油ストーブを使用するキャンパーが増えています。
石油ストーブは薪ストーブのような強烈な暖房効果はありませんが、じわじわと暖まるやさしい熱源。
愛好家が増えるのもわかります。
石油ストーブには大きく分けて
・対流式
・反射式
の2種類があります。
これらはそれぞれ暖め方の特徴が異なります。
なのでストーブを選ぶときには自分のキャンプスタイルにあった方を選ぶと良いと思います。
ではそれぞれの特徴を見ていきましょう。
対流式ストーブ
対流式石油ストーブは燃焼により温まった空気が対流することで空間を暖めます。
そのため空間の中心に置くと効果的。
イメージとしては空間全体を暖めるといった感じで、比較的大きなテントやスクリーンタープの暖房に向いています。
また天板でお湯を沸かしたり煮物料理をすることも可能です。
その分ストーブの横方向は遠赤外線の量が少ないのでそれほど暖かくはありません。
最近はキャンプストーブとして人気が出ており色々なデザインのおしゃれなものも多く売り場に並んでいますね。
現在キャンプ用石油ストーブはこの対流式が主流となっています。
会社のキャンプ部メンバーも皆この対流式を選んでいます。
反射式ストーブ
反射式の石油ストーブは「輻射熱」を利用して部屋をあたためるタイプ。
燃焼部の奥に反射板が設置されており、燃焼部から出た遠赤外線が反射板で反射し、その正面を効率良くあたためます。
対流式が空間全体を暖めるのに対して反射式はその正面を暖める。
もちろん温められた空気は対流を起こすので空間も暖かくはなりますが、反射板から出るのは遠赤外線なので体の芯から温まる感じです。
そのため比較的狭い空間(ソロキャンプ等)に向いています。
またスポットを暖めるという特性上、小型でも用をなすのでコンパクトな製品も多くあります。
ワタシ的にはソロキャンプであれば反射式がベストだと思っています。
石油ストーブのメリット
①灯油さえあれば暖を取れる
石油ストーブは電源がなくても灯油さえあれば暖を取ることができます。
そういう意味ではフィールドを選びません。
また低温下でも安定した使用ができます。
②セッティングや掃除の手間がない
石油ストーブは薪ストーブのように組み立てやその他部品の固定等の手間が必要ありません。
車から下ろして灯油を給油し20分程待つだけで使うことができます。
これはやることが多いキャンプにおいては大きなメリットです。
③静か
石油ストーブは芯に染み込んだ灯油が燃えるだけなので無音です。
音に敏感な人でも気にせず熟睡できます。
④一回の給油で長時間燃焼する
灯油をタンクにFULLに入れることで長時間使用することができます。
夕方給油し、つけっぱなしで朝まで余裕で暖を取ることができます。
使用する灯油はサイズによって異なりますが、炎レベルを最大にしていても一晩3リットル程しか消費しません。
燃料費500円程でしょうか。
薪ストーブは一晩燃やすと薪が5〜7束は必要になります。
一束500円としても4000円近くかかることになります。
そういう意味でも非常に経済的ですね。
石油ストーブのデメリット
①一酸化炭素中毒の危険性がある
石油ストーブは燃焼ガスを外に出す煙突等がありません。
燃焼により発生した有毒ガスもそのまま放出されます。
そのため密閉されたテント内で使用すると一酸化炭素中毒事故が起こる可能性が非常に高くなります。
実際千葉県においてテントの中で4人が一酸化炭素中毒死するという痛ましい事故も起きており、石油ストーブを使用する際は換気に最大限の注意を払う必要があります。
②熱による事故の可能性がある
石油ストーブの天板やその周りは非常に熱くなります。
テントやチェア等の化繊製品が触れただけで一瞬で溶けて穴が空きます。
またタオル等が天板の上に落ちると間違いなく火事になるし、人が直接触れたらその瞬間に火傷します。
そのため石油ストーブの設置場所及びその周りの整理が重要ですし、天板に可燃物が落ちてこないようなセッティングが必要になります。
また小さな子どもが居る場合はストーブガード等で子どもが触れられないようにしなければなりません。
③灯油の強烈な匂い
灯油には強い匂いがあり、こぼしたり服についたりするといつまでも灯油臭さが残ります。
さらにこの匂いは洗ってもなかなか取れません。
キャンプ場への行き帰りで車の中に灯油がこぼれてしまうとその匂いが車酔いを運んできます。
石油ストーブ使用のTips
①効率よく換気する
石油ストーブは薪ストーブ以上に一酸化炭素中毒の危険性が高い暖房器具です。
そのためテント内の換気にはより注意する必要があります。
とは言っても基本は薪ストーブと同じです。
「テント内に空気のルートを作って換気が自動的に行われるようにする」
・テント上部のベンチレーターは全開にする。
・テント本体のファスナーを一箇所30センチくらい開ける。
こうすることでテント内の空気に自動的な換気の対流が発生します。
基本的に「隙間風」が入ってくるくらいの状態にすることが重要です。
もしベンチレーターがない場合は対角線上にあるファスナーをそれぞれ30センチほど開ける等、風が通りやすい形にします。
〈注意!〉
2ルーム、3ルームのテントの場合は奥の寝室スペースに一酸化炭素が滞留しやすくなります。
したがって奥の寝室スペースの換気は最も重要になります。
インナーテントと本体のファスナーを開けて空気が流れるようにします。
また「一酸化炭素チェッカー」を設置することをオススメします。
②1シーズン以上前の灯油への対応
古い灯油が灯油タンクに残っていた場合はそのまま使用せず、新しい灯油と混ぜて使用することで芯への悪影響が少なくなります。
古い灯油1につき新しい灯油3以上になるように混ぜると良いと思います。
③2〜3人用テントには反射式がベスト
2〜3人用の比較的小さいテントの場合は反射式を使用すると良いでしょう。
対流式の暖房効率を上げるにはテントの中にすっぽりいれる必要がありますが、そもそも空間が狭いテントではそれが難しい。
無理して入れると熱い天板に色々なものが当たったり、テントの内部が暑くなりすぎることも。
反射式はストーブをテントの外に置いても反射板の正面は暖かさを感じることができます。
さらに反射板をシュラフに向けることでシュラフ自体が暖められるので、心地よく眠ることができますよ。
まとめ
現在キャンプでの暖房のメインプレイヤーである「石油ストーブ」
扱いやすく場所を選ばない暖房器具ですが扱い方を間違えると命に関わる事故につながることもあります。
換気と火災に十分気をつけて使用すれば冬キャンプの頼れる相棒となりますね。
最後まで読んでいただきありがとうございます。