コロナに感染したときの考え方(1)

よもやま話

もしもあなたがコロナ陽性と判定されたら

先日新型コロナウィルスに感染した在宅療養中の女性が自らの命を断つという、痛ましい事件がありました。
その方は会社員の夫と娘の三人暮らしで、夫が先に感染し、その後ご本人と娘も感染したそうです。感染後「周りの方に迷惑をかけて申し訳ない」と悩んでおられたとか。
娘さんを残して自らの命を断つということは、その方の悩みの深さを物語っています。

二回目の緊急事態宣言が発令された現在、新型コロナウィルス感染者の数も非常に多くなり、マスコミの報道も以前にも増してエスカレートしています。そして日本ばかりではなく世界的な規模で“漠然とした不安”が広がっているように感じられます。
1月12日の記事「緊急事態宣言下で心静かに過ごすには」で『コロナウィルスに対してやれることをすべてやったら、あとは普通に毎日を過ごす』と書きましたが、どんなに気をつけていても感染してしまうことはあります。だってウィルスは目に見えないのですから…
では万が一、自分が感染してしまったとき、その状況にどう向き合えば良いのでしょうか。

病気に罹患した時の患者の心理

私たちは大きな病気で入院したり、今回の様な指定感染症である新型コロナウィルスに感染したときにしばしば次のような心理状態に陥ります。
・これは本当のことかという現実の懐疑と焦り
・何故自分がこんな羽目に…という怒り
・これからどうなるんだという不安
・周りの人に迷惑をかけているという自己嫌悪
・誰も自分の苦しみをわかってくれないという孤独感
そしてこれらの心理状態は大きなストレスとなり、抑うつ状態になってしまう恐れもあります。

では、自分が今回の新型コロナウィルスに感染したときに感じるそれぞれの感情にどのように向き合い、対処すれば良いのでしょうか。

これは本当のことかという現実の懐疑と焦り
検査で陽性と判断された場合、これを疑っても仕方ありません。先ずは感染したという事実を受け入れなければなりません。
新型コロナウィルスに感染することは犯罪でもなく、道徳的に悪いことではありません。
あなたはインフルエンザに感染した場合、それを“悪いこと”と考えますか?
基本的にはそれと同じことです。新型コロナウィルスに感染しても、それは善悪の問題ではなく、あくまでも仕方ないことです。ウィルスは目に見えません。どんなに気をつけていても感染することはあります。ワクチンの投与を受けてもそれで100%予防できるという保証はありませんし、それもインフルエンザと同じです。
先ずは感染したという事実を受け入れ、次にどうするかを医師や保健所の担当者と相談し、粛々と行動しましょう。
もちろん、他の人に移さないよう最新の注意を払って。

■何故自分がこんな羽目に…という怒り
新型コロナウィルスに感染し入院や在宅療養を強いられると、「何で自分がこういう目に遭うんだ」という、やり場のない怒りが沸き起こることがあります。
そして、自分に移したかもしれない知人や、自分の周りにいる健康な人に対して怒りの感情が向いてしまいます。
しかしここで考えてみましょう。誰かに対して怒りを感じたり、当たったりすることで病気が消えてしまう事はありませんし、病状が良くなることもありません。さらに怒りという感情は体が持つ回復力を削いでしまうことにも繋がり、回復を遅くしてしまう可能性があるのです。
また、怒りの感情が湧くということは、あなたが感染した自分を受け入れていないことがその大きな原因です。
何度も言いますが、目に見えないウィルスにさらされている状況は全ての人に平等であり、今回あなたがウィルスに捕まってしまったのは仕方のないことなのです。
今の日本に住む人々、いや、世界中の人々は言わば「共にコロナと闘う同志」と言えます。そして今は感染を免れて元気に暮らしている人もいつかあなたと同じ状況になるかもしれません。であれば「お先に失礼」という考え方に切り替えて、怒りは手放してしまいましょう。

■これからどうなるんだろうという不安
PCR検査で陽性と判定され、これから療養を始める方が不安になるのは至極当然のことです。
おまけに過剰なマスコミの報道に常にさらされている今日、不安にならない方がおかしいですね。

不安を持つということは“今後についての未知なものに対するマイナスイメージを持っている”ということです。
私たちは「もしかしたら〜になってしまうかもしれない」というネガティブな考えが大きくなることで不安が増幅され、この不安を払拭するために、ネットやテレビのニュースや情報を必死で集めるようになります。
しかしマスコミ、特にテレビ局は常に視聴率を気にします。そのため、必要以上に大げさに表現し、不安を煽る報道をします。そのため情報収集をテレビに頼ると逆に不安を高めてしまう結果になるのです。
これを防ぐためには、ニュースやワイドショーの内容におけるテレビ局やコメンテーター等の主観や意見に関する部分は聞き流して、事実を伝える部分に注目することが大切になります。このことは新型コロナウィルス以外でも共通して言えることです。
とは言え、感染してしまった場合は少しでもポジティブなニュースやデータを選んで読み、すこしでも心の不安を払拭するようにしましょう。
また、今回の新型コロナウィルス禍が始まって一年以上が経過しています。その間医学界ではこのウィルスについてかなりのことが明らかになり、それに基づいて治療、療養の指導がなされていますので、不必要な不安を持つことなく療養に専念することが大切です。

■周りの人に迷惑をかけているという自己嫌悪
我々日本人は協調性が高いという特徴を有しています。これは農耕を生業としてきた農耕民族であることと、さらに海に囲まれた狭い国土の中で地域との密着を強いられてきたことがその特徴を色濃くしています。これに対し、いわゆる狩猟民族であるヨーロッパやアメリカでは個人主義の色合いが強く、協調性にはやや欠ける面があります。
例えば新型コロナウィルス対策としてマスクの着用が世界的に叫ばれていますが、ヨーロッパやアメリカではなかなかこれが徹底できていません。それに対して日本においてはほぼ全ての人がマスクの着用をしています。もちろん普段から風邪対策でマスクを付ける習慣があったこともその理由ですが、他の人が皆マスクをしている中で自分だけがそれをつけていないと居心地が悪くなるという心理を我々が持っていることがその理由だといえるでしょう。
これをある人は“同調圧力”と表現しますが、この“周りに迷惑をかけてはいけない”という協調性は今回のような指定感染症である新型コロナウィルスに感染した場合に大きな心の負担となります。
つまり、家族や職場等の周囲の人達に対して“迷惑をかけている”という罪悪感を感じ、それにより自分を責めてしまうのです。

しかし何度も言うようですが、コロナウィルスに感染するということは罪ではありませんし、悪いことではありません。どんなに注意しても努力してもウィルスが目に見えない以上感染してしまうことはあります。
言うなれば“被害者”とも言えるのですから、自分を責める必要は全くありません。
また、自分を責める気持ちがある場合、周囲の人も自分のことを迷惑な奴と見ているのではないかという不安に駆られがちですが、これも全くの間違いです。
あなたの職場や友人に感染者が出たとして、あなたはその人を迷惑な奴だと思いますか?
自分を逆の立場においてみると、その事がよく分かるはずです。

不本意ながら感染してしまったあなたがすべきは、ただ一つ療養に専念し、自分の行動を律して新しい患者を作らないことです。それ以外にはありません。周囲の人々はあなたが一日も早く元気に復帰してくるのをひたすら待っているのです。
感染した経緯は人それぞれあると思いますが、回復した後は同じ轍を踏まないよう、その経験を周囲の人と共有し役立てていきましょう。

ここまで病気に罹患したときの患者の心理の4つについてお話してきました。
残りについてはまた次回に書きたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

コロナ感染した時の考え方(2)

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36年間キャンプに親しんできた管理人が、培ってきた経験やTipsを共有するためのブログです。

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